衣料品店とSNS

【登場人物】
Tomy(トミー)。男性。
Kathy(キャシー)。 女性。

【本編】
GWだけど遊びに行く予定もなく、大学へ時間を潰すためにやってきたTomy。
図書館へ向かうと友達であるKathyの姿を見つける。
なにやらスマートフォンに夢中になっている様子のKathyにTomyは話しかけた。

「へい、Kathy。何にそんなに夢中になってるんだい?」

Tomyの声を聞き、画面を注視する視線を上げるKathy。そして答えた。

「ファッションチェックよ。気に入ったものが見つかったら注文しようと思ってね」

「ファッションチェックだって? スマートフォンでそんなことが出来るの?」

「まさか知らないの? 仕方ないから教えてあげるわ。ここだと怒られるからちょっと移動しましょう」

TomyとKathyは図書館の中に設けられているディスカッションルームへ向かった。
ちょうどディスカッションルームは空いていて、数組の集団が話しているだけだった。

「よし、じゃあ教えてあげる」

席に座るとKathyはそう言ってTomyに説明を始めた。

「今時はね、服もネットで買う時代。でも試着しないとどんな感じかわからないじゃない? だから試着するためのSNSがあるのよ」

<手順>
①SNSに登録し、自分の分身となるアバターを作成する。初期ではアバターの衣装は限られたものしか選択できない。
②アバターに衣装を着せてみて、360度から見てみて、似合うかどうかを確認する。
③気に入ったら商品カゴに入れ、SNSと提携している衣料品店へ向かう。
④店内に設置された端末にSNSに登録した時に設定される個別ナンバーを入力する。すると商品カゴに入れた商品の棚が示される。
⑤実際に着てみるもよし、そのまま買うもよし。

「簡単に言うとこんな感じ」

「へえー。すごいな現代は。でもアバターに似合っていても、自分に似合うとは限らないんじゃない?」

Tomyが疑問を投げかけた。

「そうなのよね。でもSNS提携店で 無料で採寸してもらうことが出来るの。そのデータをSNS上のアバターに反映させることができて、そうしたら実際に似合うかどうかも確かめやすいでしょ?」

Kathyの説明にうなづくTomy。Kathyのスマートフォンの画面を覗き込みながら何かを探していた。

「何を探してるの?」

「いやー、採寸したならKathyの3サイズが載ってるかなーと思って」

頭をはたかれるTomy。

「そんなの見せないわよ」

怒るKathyとなだめるTomy。
しばらくしてKathyも落ち着き、Tomyは言った。

「まあでも3サイズとか体重とか記録されたとしたら、ダイエット計画とかも立てやすいよね」

「そうね。そういう使い方をしている人もいるわ。あと何センチウエストを細くしたらこの服がこのサイズで着れます、っていう告知機能もあるのよ」

「へー、便利だね、ホントに」

「私は服選びにだけ使っているんだけど、友達の中にはアバターのドレスアップにハマっちゃった娘もいるの。アバターの衣装を増やすにはネットでアバター用の衣装を購入するか、実際にSNS提携店で服を買うかすればいいの」

「自分もアバターも同じ服を着れるのか。ハマりそうな人が多そうだね」

「そうなのよねー。SNS上でしか使えないアイテムにお金を払うのに抵抗ある人でも、現実の服も買えちゃうからついつい買い過ぎちゃうみたいなの」

「でもいいなー。暇な時間を使って、自分に似合う服を見つけられるんだもんね」

「そうそう。それにね、ユーザーが服の組み合わせを登録することも出来るの」

「どういうことだい?」

「要はユーザーが全身コーディネートして、そのセットの人気投票ができるの。人気上位に入れば無料でそのセットがゲットできちゃうんだって。他のユーザーにしてもセンスの良いセットを丸々買うことができるしね」

「すごいなー、それ。いっちょボクもコーディーネーターを目指しちゃおうかな」

「このSNSからコーディネートの仕事をするようになった人もいるんだって」

元気に語り合っていたTomyとKathy。その会話を聞いた一人の女の子が二人の話の中に入ってきた。

「突然だけど、ごめんなさい。私も混ざっていいかしら?」

「全然問題ないよ」

Tomyが答えた。

「そのSNSの話しなんだけどね、服の組み合わせを出来るだけじゃないの」

「どういうことだい?」

「服のデザインも出来るのよ」

「服のデザインだって!?」

「そうなの。ユーザー自身が新たにデザインして、そのランキングもあるの。人気投票でランキング上位に入ると実際にユーザーがデザインした服が生産されるの。すっごく夢があるでしょ?」

「確かにねー」

TomyとKathyは首を縦にふる。

「ということで、私もデザインしているのよ。ほら、これ。投票よろしくね!」

そう言って女の子は元のグループに戻っていった。

「すごい子ね。自分の服を売り込みに来たんだ」

唖然とするKathy。

「そのくらいの行動力が必要なのかもね」

Tomyは驚きつつも女の子を褒めていた。

「とりあえずTomy。あなたも暇だったら登録してみたらいいわ!」

「そうするよ。ありがとう!!」

【解説】
様々なサービスがSNSと結びついてきている。
文章だけではなく、写真や動画、音楽などの様々なものがSNSによって共有や拡散されている。
そんな現代においては新事業を始めるとしたら、SNSとの連携をなくしては考えられないと思う。

とりあえず上の衣料品店とSNSのコラボはすでにあるはず。
ゾゾタウンはその1つではないだろうか?(詳細は知らない)

ポイントは従来のネットショップのような一方通行性ではなく、消費者であるユーザーをデザインやコーディネートで巻き込んでいる点。
クラウドソーシングだ。
不特定多数の参加によって、少人数では実現しかねるアイデア数を実現させることができる。
そういう点でクラウドソーシングはとっても魅力的である。
だがいかに参加させるか、参加者のアイデアをどう取り扱うのか、が難しいと思う。

ここでは誰しもが興味をもつであろうファッションを取り扱った。
広い領域に対するクラウドソーシングは参加が可能だが、その積極性は低いと思う。
ニッチ産業であれば、参加率は低いかもしれないが熱烈なアイデアが多く来るのではないだろうか。
それはその産業なりに対する ロイヤリティに関わってくると思われる。

とりあえずアイデアの数はあればあるだけ良いはず。
困ったときは自分一人で考えずに、他人のアイデアをいただくのもアリ。

【感想】
やっつけで始めた結果が上の感じ。
後悔はある。
もっと練ってから書けばよかった。
とりあえずやりたかった。
次はもっとうまくやりたい。
ここまで読んでくれた方はありがとうございます。

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